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2011年6月 6日 (月)

永沢まことさんの描く被災地

 震災後にこのブログを見つけて下さった方も多いと思いますが、私は普段は絵を描く仕事をしています。

 絵を描くきっかけとなったのは、画家の永沢まことさんの展覧会を拝見したことです。その後、直接ご指導いただけるチャンスがあり、以来10年以上大変お世話になっています。

 今回、この震災に際し、まったく筆を取れずにいましたが、絵でしか表現できない被災地というものがあることを常々感じていました。でも自分にはできない。上手下手なんてことではなくて、ただ、絵を描く対象として向き合えないのです。対峙するのが、ガレキではなく死そのものだからです。

 じっと見つめようとすると、耳の中に響くほど心臓がドクンドクンとして、耳鳴りとしびれがきます。どうしようもない。ただそれでも、生きている人の役には立てる。見て見ぬふりをしながら、なんとか自分にできることをするだけと、ほぼ思考停止のまま動いています。

 もし描くとなったら、その気構えみたいなものは、頭の中ではなんとなくなんとかできるかも しれません。死への思いを悲しみから供養に転じさせるのです。あとは、とにかく「無」になること。感情を入れないこと。つまり、感情を持たずに描くこと。それができれば・・・。未熟な私にはまだまだできそうもありません。

 もやもやとした思いのまま、震災ぶりに永沢まことさんにお電話差し上げたのが5月末。口をついて出てきたのは「先生、被災地に来ていただけませんか」というお願いでした。

 その数日後、お忙しい中、2泊3日の時間をとって東京から駆けつけて下さいました。

311nsketch_0  台風を含む3日間に、釜石、大槌、大船渡、陸前高田など、小さな港も含め、とにかく車を走らせ、先生は10枚以上のスケッチを描かれました。スケッチ時間は1枚につき、ほぼ15分以内です。
その姿を私はただただ見つめるばかりでしたが、たくさんのことを背中で教えていただきました。

 ブログ掲載のご了承をいただいておりますのでご紹介します。クリックすると少し大きくなります。

 永沢先生、ありがとうございました。

■ 大槌町 城山より

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■釜石市 鵜住居町にて

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■ 大槌町 赤浜にて

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■ 大船渡市 越喜来(おきらい)にて

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■ 陸前高田市にて

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コメント

すごいなぁ。私は描けないだろうな。
立ち尽くしてしまうかもしれません。
まして、被災地に住んでいたら
描けないと思います。

悟りの境地、ですかね。

投稿: Harumi | 2011年6月 6日 (月) 13時31分

冷静にこれだけ描けるというのは凄いです。さっすが先生ですね。
悲惨さというよりも目前の光景をスケッチした力量に敬服しました。

投稿: hideki | 2011年6月 6日 (月) 15時20分

to.Harumiさん
まさにそうだと思います。ペンは滑らかながらとても力強く、みるみるうちに描かれていました。何かに身体を貸しているかのような迷いの無さです。大変貴重な記録となると思います。

to.hidekiさん
おっしゃる通り、先生は常に冷静でした。冷静に見つめ、ポイントを探すというより、求めているものに呼ばれるようにして「ここで」と決められ、あっという間のスケッチです。私にこれだけのことができたら、と思わずにはいられませんでしたが、足元にも及びません。

投稿: keiko | 2011年6月 6日 (月) 21時38分

ご無沙汰しています。
仙台にて、微力ながら職場の復旧、復興作業に携わる毎日です。

この目で、この身体で直接感じなければと、海岸地区の被災地へ足を運びましたが、その惨状はとても言葉では表せません。

岡部先生と同じく、とても絵を描くことはできませんでした。むしろ、この惨状は描くまいと決心しました。
(本当に「死」が充満しています)

歌川広重が、安政の大地震の復旧、復興を祝して、「名所江戸百景」を描いたように、復旧、復興の節目がきてはじめて描けるのではと思っています。

投稿: えいいち | 2011年6月 7日 (火) 12時02分

沿岸訪問の際は本当にお世話になりました。
私も同じく「描く事なんてできない」と先日まで思っていました。

ですが、永沢先生の言葉と行動をうけて私も少しではありましたがあの景色をペンで描く事が出来ました。
おそらく忘れる事の出来ないスケッチとなりました。

被災地へ足を運び、現状を目に焼き付ける。
これは可能な人はすべきことなのかもしれない…絵を描きながらそう思いました。

投稿: すいか | 2011年6月 7日 (火) 16時26分

久しぶりに覗かせていただきましたが、びっくりしました。本当の画家であれば、被災地を描くべきなのかもしれない、、などと頭では考えていますたが、先生はやはり実行されたのですね。
よくお電話されましたね。
過去の偉大な画家たちも、例えば戦場に赴きスケッチをした方も多かったようです。
並大抵の勇気と覚悟、自覚が無いとできないと思います。
「愉しみ」「趣味」だけではない記録行為としてのスケッチのあり方を考えさせられました。
ありがとうございます。

投稿: 浜地克徳 | 2011年6月 7日 (火) 16時58分

to.えいいちさん
えいいちさんも仙台の職場で大変な思いをされたと先生より伺いました。お見舞い申し上げます。内陸から沿岸に行くとき、見えない壁が突然やってくるあの感じは何度通っても慣れません。被災地を描くことが無理でも、絵を描くことや見ていただくことを通して被災地の皆さんのお力になれたらいいなと考えています。「名所江戸百景」の背景もはじめて知りました。ヒントをいただいた気がします。

to.すいかさん
あっという間に閑散としてしまった被災しを見るにつけ、私ですら不安が胸をよぎります。まだまだほとんどあの日のままなのに。近くにいる私達が発信しなくてはと思います。

to.浜地さん
おっしゃる通りですね。スケッチというものの奥深さを改めて考えさせられました。描いた絵にその人が出るといいますが、描こうとする時点でもう問われているのですね。戦場スケッチ、まさに今そのような惨状です。あまりの広大さにカメラマンも時々見かける程度です。この大惨事を後世にどう伝えるか。手段のある人は真剣に考えるべきだと思います。自分も含め。

投稿: keiko | 2011年6月 7日 (火) 21時19分

永沢さんが来ていたとは・・・!!さすがです・・この絵には訴える何かがあります!というか、本当にまだまだあの日のまま時間が止まっているんだなって・・

投稿: 泉 | 2011年6月 8日 (水) 08時52分

お久しぶりです。永沢先生に連絡取るまで気持ちが動いたんですね。そして、先生の写真と絵をブログで見させていただいてありがとうございます。私も元気をいただき、もうひとがんばりします。6月11日にダンスアーチストのイベントで会場に自分の描いた絵のポストカードを置かせてもらい義捐金の一部にさせていただくことになりました。また私を応援してくださっている教会の牧師から被災地への物資を集めてくださり、送る準備が出来ました。内容は、明日また連絡します。送り先は、さん食亭・岡部さん宛で送りますね。

投稿: ムーミンママ | 2011年6月 8日 (水) 20時14分

 永沢まことさんの絵を初めて拝見させていただきました。
 岡部さんの想いや先生の想いが、とてもよく伝わりました。

 私は岡部さんに呼ばれ、被災地へ行く機会を得ましたが、行くまでは(本心では)怖くてたまりませんでした。(何かを感じじたり見ちゃったらどうしよう・・・、って。)
 けど、そんなこと言ってられない!目の前の人とちゃんと向き合ってこよう!と決心出来たのは、毎日被災地の復興のために頑張っている岡部さんやひろみさんがいたからでした。
 今でも、心から感謝しています。ありがとうございました!!!

 この絵を見て、とても「感じる」ものがありました。さすがですね。言葉では言い表せません。

投稿: shiba | 2011年6月 8日 (水) 20時33分

永沢さんはやはり凄いです。

自分の楽しみで描きたいものだけを選んで描いている私とは全く違います。
「被災地をスケッチする」とは。
私にはとても手が出ないと思います。
考えさせられます。

永沢さんの後姿から多くのことを学んでいこうと思います。
ブログに載せて下さり有難うございます。

投稿: サク | 2011年6月 9日 (木) 11時53分

to.泉ちゃん
そうなのです。さすがなのです。粉塵もハエも臭いも、むしろあの日より悪化しているように思えます。そんな中でのスケッチでした。

to.ムーミンママさん
被災地応援のいろいろな形をいつも教えて下さり、ありがとうございます。物資のご連絡お待ちしております。あて先はその通りでお願い致します。ご準備ありがとうございました。

to.shibaさん
私もはじめて行った時は同じ気持ちでした。霊感などはみじんもないけれど、そんな私ですら恐怖でしたから、shibaさんは相当の覚悟で臨まれたことと思います。でも、そうなんです。そんなこと言ってられない現実がそこにあり、生きている人達が行き続けられるかの瀬戸際が今も続いています。そこに気づいてもらわないと、このまま忘れ去られてしまったら、助かる命も助かりません。いろんな方面の方が、それぞれの能力でこの現状を発信していただけたらと願っています。

to.サクさん
凄いです。本当に凄いです。先生は阪神大震災の時も飛んで行かれてスケッチされたそうです。描くこととは何か、お会いするたびに考えさせられます。私もこれからまだまだたくさん学ばせていただきたいと思います。

投稿: keiko | 2011年6月 9日 (木) 12時12分

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